ごみも見る人次第で宝物になる。高級ブランドが発売する不可思議な商品の中には、バレンシアガの革製ごみ袋やJWアンダーソンのハト型クラッチバッグなどがある
筆者はハトに対してこれといった感情はない。ニューヨーク市内では車に置かれた駐車違反切符と同じくらい、どこにでもハトがいる。彼らは筆者がスマートフォンをつついても平気だし、筆者は彼らが地面に落ちて踏まれたピザの断片をつついても平気だ。
自分はハトを連れ歩く気には到底なれない。バレンシアガ だが明らかに違う感情を持つ人たちがいる。英ファッションブランド、JWアンダーソンが890ドル（約12万円）で発売した3Dプリント樹脂でできたクラッチバッグ「ピジョン・クラッチ」を見れば分かる。
水かきのある茶色い足、ビーズのような琥珀（こはく）色の目、「翼」にはオレオのような色のしま模様が走り、体つきは引き締まっている（一方の翼を持ち上げるとモノが収納できる）。見た目はそう、ハトそのものだ。マンハッタンの大通りマディソンアベニューに置けば、観光客がびっくりしてシッシッと追い払うかもしれない。
ハト型クラッチバッグの初回出荷分は完売したとJWアンダーソンの販売員は話す。第2弾は11月に出荷予定で、いま予約を受付中だ。この商品は同ブランドのウェブサイトで8月に最も閲覧数が多かったという。ソーシャルメディアには得意げな書き込みがあふれ、「本物のハトはゾッとするけど、このJWアンダーソンのクラッチのためなら死んでもいい」というツイートがあれば、「650ポンド（約10万5000円）のハトのクラッチを作るなんて、JWアンダーソンは間違いなくミーム（はやりネタ）の達人だ」というツイートもある。
このハトは最近相次いで登場したユニセックスまたは男性向け高級ハンドバッグ商品群の一つ。狙いは、 ツイッター で拡散され、ネット上でバズることだ。仏高級ブランドのルイヴィトンは、BALENCIAGA コピー 塗料剤の容器のような形をした2850ドルの男性向け革製バッグ「ペイント・カン」を発売。あるツイッター評論家は「塗料缶を持ち歩くことがいつからファッションと見なされるようになったのか」とつぶやいた。
一方、同じく高級ブランドのバレンシアガが1790ドル（約25万円）で発売する「トラッシュポーチ」は、見た目が米ごみ袋ブランド「ヘフティ」のひも付きごみ袋にそっくりで、しかも半分「ごみ」が入った状態に見える。バレンシアガによると、この商品は数週間先まで入手できないが、経済ニュース局「FOXビジネス」やインテリアブログ「アパートメント・セラピー」など各種メディアに取り上げられている。反響の多くは、このたるんだ革製クラッチ1個と同じ値段で、本物のへフティのごみ袋が約6500枚買えるという指摘だ。
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